火曜日、某損保系生保が主催する「粒子線治療セミナー」に参加してきました。
“粒子線”というのは“陽子線”や“重粒子線”のことで、放射線の一種です。
平たく言えば、X線ではなく、別の線を使った特殊な放射線治療、といったところでしょうか。
通常の放射線治療よりも、効果が高く、身体への負担も少なく、また、通常の放射線では有効でない種類のがんに対しても有効であったりします。
がんの三大療法は外科療法(手術)、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)と言われますが、粒子線治療は期待できる効果の面から、放射線や抗がん剤の代わりではなく、手術の代わりとしての位置づけです。
(手術の方が効果が高いと思われがちですが、粒子線治療でも同等の効果が得られるという意味です。なお、粒子線治療に限らず、最近は通常の放射線治療でも、適切な治療が行なわれれば、手術と同等の効果が得られると言われており、日本は「がんの治療=手術」という風潮がありましたが、放射線治療をもっと積極的に、あるいは公平に候補として考えるべきと言われています)
また、粒子線治療は通常の保険診療(自己負担3割)ではなく、先進医療に分類されているもののため、この治療の技術料については全額が自己負担になる治療です。高額療養費の対象にもなりません。
粒子線治療は300万円前後かかることや、身体への負担が軽いこと、通院でも治療が可能なことから、テレビでもよく取り上げられます。
また、これらの治療が行なえる施設は、今のところ全国で6箇所。重粒子線については2箇所です。
(他に各地で建設計画がありますが、個人的には、乱立しても採算は取れるのか!?と疑問・・・)
これについてのセミナーでした。
この保険会社は粒子線治療もその一つである先進医療を受けたときに高額な補償を受けられる保険を販売しているため、今回のようなセミナーを企画しているわけです。
以前に、重粒子線治療を行なっている放医研の施設を見学したりしているので、また、上記のような保険を積極的に勧めているので、だいたいのことは把握しているのですが、新たに学べることもあるだろうと参加してきました。
ちなみに、2週間ほど前にこの保険会社の担当者と話す機会があり、その後メールで、「そんなセミナーがあれば教えてください」と伝えたところ、「ちょうど来月にありますよ」ということでこのセミナーを知りました。
うちの場合、たくさんの保険会社を取り扱っているため、各保険会社からすべてのセミナーや研修の情報が降りてくるわけではないんですよね。あまり、うちに来てくれない保険会社もあったりしますので。
こちらから、「こういう情報はない?」と問いかけないと、得られなかったりします。受け身だと得られる情報が限られてしまう環境です^^;
なお、私は保険周辺の知識として、病気に関すること、特にがんについて積極的に学びに出かけています。
その理由について、私が思うところを今日の菱川先生もおっしゃっていたので、ちょっと書きます。
がん以外にも命に関わる病気、最新医療としては、脳や心臓、脳梗塞や心筋梗塞の治療法も話題性があります。
しかし、そのあたりは情報を集めてもあまり役立てられないと思っています。
脳梗塞や心筋梗塞で倒れたときは一刻を争います。すぐに病院に運ぶ必要があります。
そこでは、こんな治療法がある。それを受けられるあの病院がいい、とか選ぶ余裕はありません。救急車で運ばれた病院ですばやく適切な治療を受けられることが重要です。
たまたま、その病院で最新の特殊な治療をやっていて、それを施されることになれば、「もしかしたらそのおかげで回復が早かったのかもね」というような話になります。
いろいろ情報を知っていても、それを活かせる時間がないわけです。
それに対してがんの場合は、初期であればもちろんですが、ある程度進行してしまっていても、すぐに動けなくなるわけではなく、診断された後、時間があります。
どこの病院、医師の下、どんな治療を受けるのか、良くも悪くもじっくり考える時間があります。
そういったときに情報が役立つ可能性があります。
それに、以前よりも不治の病ではなくなったとはいえ、大いに命を脅かす可能性のある病気であり、再発や転移の恐れもあり、大きな衝撃を与える病気ですしね。
そんなわけで、他の病気よりも重点を置いて勉強してます。
さて、今日の講演者は兵庫県立粒子線医療センター院長の菱川良夫先生です。
粒子線治療の概要から、実際にどのような流れで治療計画が立てられ、実施されるのかの説明、さらに事例を挙げて治療効果やどういう目的で治療が行なわれたのか説明がありました。
やっぱり、こういう専門的なテーマの講義は、何度も繰り返し、また様々な人に話を聞いたほうが理解が深まりますね。
別の角度からの話を聞くことができますし、まったく同じ話を聞いても、そのときに自分が持っている知識や関心によって、理解できること、印象に残る部分が変わってきます。
参加してよかったです^^
前半では粒子線治療の概要についての説明とどのように日本で行なわれるようになったのか歴史と、後半は治療を受ける場合の流れ・スケジュールと、治療の事例についての説明でした。
今回の日記では粒子線治療についての概要についてははしょらせていただきます。
そうではなく、また、治療の効果がどうこうというわけではないのですが、印象に残った治療事例があったので紹介します。
ドキュメンタリーとして、すごいと感じたのですが・・・。
35歳の女性の方で肺がんになられた方がいたそうです。
当初は粒子線治療は受けず、別の病院で右の肺をすべて摘出する手術を受けたそうですが、その後、左の肺の広い範囲に転移してしまったそうです。
広い範囲での転移となってしまい、手術には適さず(範囲が広く、また肺をすべて摘出するわけにはいかないので)、放射線治療も適しません。
全身療法である抗がん剤投与が考えられましたが、効果は限定的と考えられ、身体への負担を考え、治療を断念されたそうです。
ただ、それは後ろ向きな断念ではなく、「がんを完全に治すことはできないけれど、“よく生きる”ことはできる」という判断だったそうです(と、医師にアドバイスされたのかな?)。
35歳の女性にとって、“よい生き方”として彼女は子どもを生んで育てることを考えたそうです。
99年11月にガンと診断され、2000年3月に左肺を全摘、2002年に残肺多発転移が確認され、このときの決断です。
その後、03年に男児を出産し(転移が確認されていた時点で妊娠中だったのかは未確認です)、06年には女児を出産されたそうです。
それで、07年4月には転移したがんが大きくなり、気管を圧迫するようになったため、症状が軽減されるように、その部分だけ粒子線治療を受けたそうです。がんを治すための治療ではなく、症状を緩和し、“よく生きる”ための治療です。
特にこの患者さんの事例についてクローズアップして講演されたわけではないのですが、うーん、「愛してるよ、カズ」とか「余命一ヶ月の花嫁」のTV番組、本を見たばかりだからですかね、印象に残りました。
命に関わる病気なのに、勇気ある決断をされていてすごいなと感じます。
そんな場面に遭遇したときに、真剣に命と向き合って、何らかの決断を下せるだろうかと思います。
ちなみに、今回「へー」と思ったこと。
(飛ばし飛ばしに、一部のことしか書かないため、予備知識がないとわからないと思います。単なるメモです)
・粒子線治療を最初に行なったのは筑波大(私、筑波大出身なので)
・医療として、先進医療に認定されて粒子線治療をお金を取って実施するようになったのは98年国立がんセンター東病院が初め。
・事業として採算が取れるためには、年間5,600人の患者、休日や施設のメンテナンスを考慮すると一日あたり5,60人の患者が必要。
(全国各地で同様の施設の建設計画が立ち上がっているのですが、施設の乱立はそれぞれの施設の採算の悪化、補助を出している自治体財政の悪化を招くので)
・一日あたりの実施件数は、臨床試験中は5〜10人/日、03〜05年は30人/日、06年〜は60人/日
・今は月に3,4日休止してメンテナンスをしている。
・実際に患者に照射する前に、「実測」として実際の患者を想定して照射実験をし、コンピュータの設定が合っていて、実際にどれくらいの線量が照射されているか計測する段階がある。
(コンピュータの入力が間違っていて、本来の数倍、あるいは数十倍の線量をあてることにでもなってしまったら、副作用など身体に与える影響が心配される。以前に通常の放射線治療でそういったミスをしてしまった医療機関があったらしく、万全を期している)
・病院としては50床ほどしかなく、近隣のホテルなど宿泊施設に宿泊したり、通院で治療を受ける人も多い。
(以前、放医研で聞いたときは、スケジュールを滞りなく進めるため、基本的には入院してもらうことになっているとのことでした)
・将来的には陽子線と炭素線(重粒子線)を同時に併用する治療を行ないたいとのこと。
・理論上は炭素線(重粒子線)の方が効果が大きいといわれているが、臨床的には陽子線と炭素線では効果に大差はない。
・単に粒子線治療を行なうだけでなく、治療中に生活習慣を見直させ、治療後もその生活習慣を継続させることが一連の治療。
しかし、千葉の放医研で重粒子線治療をやっているのに、どうして兵庫から招聘しているんだろね?^^;
院長がこういう講演活動に積極的かそうでないかの差なのか?重粒子線だけでなく、陽子線も使った治療をやっているからなのか…
どうせなら施設の見学もセットになった研修を希望したいけれど、さすがに兵庫は遠いなぁと思ったり、一方で、医療産業に特化したら街がどのような発展を遂げているのか、見に行ってみたいとも思ったり…。
そういう意味では亀田総合病院のある千葉県鴨川にも出かけてみたいと思う今日この頃。
鴨川シーワールドには何度か行ったことあるけどね(^-^;
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